小学四年生の主人公「戦部ワタル」はあるとき、導きによって神部界という神様の世界へと誘われる。
ワタルはそこで救世主と呼ばれ、神様の住まう山「創界山」を救ってくれと頼まれる。
創界山は七つの島が重なりあっている不思議な山。その山を魔界の者ドアクダーが支配してしまったため、
その周りに輝く虹が灰色と変わり、山に住まう神々は魔界の者の悪事に苦しめられてしまっているのだ。
そんなおり、敵ロボットがワタルに
襲ってきたとき、ワタルが粘土で作ったロボット「龍神丸」が魔神(マシンと読みます)となり、力を
あわせ敵を倒す。そしてワタルは「ヒミコ」や旅の途中であった「シバラク」と共に、創界山
の七つの階層を元に戻すために
魔神英雄伝ワタルとは1988年にサンライズがレットカンパニー(代表作:サクラ大戦、天外魔境など)
の協力を得て作られたテレビアニメです。
この作品は、大人向けの難しいアニメが流行っていた当時に「子供向けの
原点に戻ったアニメ」をコンセプトに製作されました。
RPG風のストーリー、様々なもののパロディ、当時のSDガンダム人気にのっとった2頭身デザイン、主人公ロボット
龍神丸…それが新鮮に見えたのか当時に見てなかった私にはわかりません。が、
「おもしろかっこいい」…当時の言葉で言えば、「二枚目半」と言うところでしょうか。ギャグもシリアスも兼ね備えた
この作品は、大人子供問わず愛され、やがて最終回の一年後、続編である2が作られたことは確かです。
そしてそれが終わったあとも、ファンの声は熱くCDドラマシリーズや音楽CDが数多く発売されます。(
数えたことはありませんが、おそらく全部で50枚くらいは軽く出てると思います…)
そしてそれでもなお、ファンの声が高く上がり、1997年、初代がはじまって約10年後、
超魔神英雄伝ワタルとしてTVアニメが放映され、今なおファンの声が熱いアニメです。
また有名人を生み出してきたアニメでもあります。もっとも有名なのは、忍部ヒミコ役の林原めぐみさんでしょうか。
いまやトップ声優の一人とも言える林原さんの初のレギュラー番組であり、この先エヴァンゲリオンまで続く「林原さんと言えば
明るく元気な大食らい役!」というイメージはこの忍部ヒミコから来たと言っても過言ではないでしょう。
そして魔神英雄伝ワタル2のOPテーマ「stepbystep」は「友達でいいから」で有名な高橋由美子さんのデビュー曲でも
あります。
下にも紹介していますが、製作メンバー、声優陣とも超豪華です。ですが、ワタルの魅力はそこではなく、
優しい物語、ストレートだからこそ伝わってくる力強さ、生き生きとしたキャラクターたち…そんな作品
内部の世界にあると思っています。
実際、ものすごく「易しい」ストーリーです。王道、といいましたが単純ともいえますし。
ストーリーの構造は単純で、
ワタル達が町につく→町の様子が何かおかしい→まともな町の人のピンチを救う(もしくはワタルの
ピンチ救われる)→場所転換して、状況説明。大ボスの手下が町をおかしな方法で支配している。
→ワタルがボス側の提示した方法でとんちを使い勝つ。→ボス逆切れ、マシンを呼ぶ。→
龍神丸ピンチ→ボスの弱点を利用して(もしくは偶然で)相手を不意をつき勝利→新たな情報、旅へ。
多少アレンジはありますが、だいたい5、6割はこんな感じです。でもなんでしょ、
水戸黄門みたいな時代劇を愛するファンがいるように、つまらない…とは思わないんですよね、これが。
サイトの別ページでドラクエをやっておりますが、ドラクエが好きな方は結構好きかもしれない…と思うのですが、
両方知っていらっしゃる方はどうでしょう?『王者の剣』とかありますしね。(これ絶対ドラクエ3からだと
思うんですが…時代的にはどうなんでしょうね?)
ワタルの中で特徴的なのが、主人公が乗り込むロボット「龍神丸」に意思があり、しゃべるということだと思います。
鉄人28号はわずかに意思があった?ようですが、話すということはしませんでした。マジンガーZもです。
(詳しくはないのですが…)当然ガンダムなどにいたっては言うに及ばずです。
しかし龍神丸は違います。れっきとしたキャラクターとしてそこに存在します。ワタルを叱ったり、励ましたり、
時には敵に軽口を叩いたり、たまにはワタルに諫められたり(笑)
…それはただのロボットではありません。(実際龍神丸は龍神の化身という
扱いですし)共に戦い、励ましあう仲間です。どこの世界に敵に挑発されたからといって、方言で
言い返すロボットがいるでしょうか?どこの世界に飛べないからといってロケットで飛ばされるロボットがいるでしょうか?
どこの世界にサーフボードで「いえい!」と調子をのって主人公に「調子にのらないで!」と諫められるロボットが
いるでしょうか?
…それが龍神丸です。
私たちはワタルが「龍神丸ー!!」と呼びかけたときに「おおー!!」と返事をしてくれる、それがとても嬉しいのです。
やさしい中にもメッセージがあって、それが暖かい。だからこそ大人にも子供にも見て欲しい、そう思うアニメ。
私の一番大好きな物語なのです。
製作メンバー
原作は矢立肇さん(サンライズスタッフ総合のペンネーム)
総監督は井内秀治さん(代表作:ヤマトタケル、ママは小学4年生など)
キャラクターデザインは芦田豊雄さん(代表作:銀河漂流バイファム、宇宙戦艦ヤマト、Dr.スランプ アラレちゃん
など)
声の出演
戦部ワタル役:田中真弓さん(代表作:ONE-PIECEのルフィ、ドラゴンボールのクリリン、天空の城ラピュタのパズーなど)
忍部ヒミコ役:林原めぐみさん(代表作:エヴェンゲリオンの綾波レイ、スレイヤーズのリナ・インバース、名探偵コナンの灰原哀など)
虎王役:伊倉一恵さん(代表作:シティハンターの槙村香、サクラ大戦のレニ・ミルヒシュトラーセなど)
剣部シバラク役:西村知道さん(代表作:SLAM DUNKの安西先生、Zガンダムのジャミトフ・ハイマンなど)
渡部クラマ役:山寺宏一さん(代表作:エヴァンゲリオンの加持リョウジ、エディ・マーフィーの吹き替えなど)
龍神丸役:玄田哲章さん(代表作:シティ・ハンターの海坊主、幽遊白書の戸愚呂・弟など)
海火子役:高乃麗さん(代表作:サクラ大戦のマリア・タチバナ、金色のガッシュベル!!のゼオンなど)
スズメ役:宮村優子さん(代表作:エヴァンゲリオンの惣流・アスカ・ラングレー、ベルセルクのキャスカなど)
聖樹役:伊藤健太郎さん(代表作:機動戦艦ナデシコのアオイ・ジュン、ヒカルの碁の加賀鉄男など)
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