「一回だけだぞ?勝てるかどうかはなんざ保障しねーからな?」 レオンのその言葉に、オストは顔を輝かせた。 「それじゃあ!!出てくれるのか!!」 「はぁ…俺の惰眠タイムが…」 そうつぶやくレオンに、ルーンは破願した。 「やっぱりレオンは優しいねー。大好きー。」 「来週ですわよね。応援させていただきますわ。見学はできて?」 「ええ、向こうの学校でするんですが、リィンディアさんが来てくれるなら、部員一同喜びます。」 「僕も行ってもいいー?」 「ええ、もちろん。」 オストが頷くと、すでに力なく、レオンはつぶやく。 「来んな、うっとうしい。初孫の運動会に来るじじばばか、お前らは。」 じじばば、という言葉にリィンはむっとしたが、軽やかに言い返した。 「しかたありませんわね。出場される誰かさんがそれほど幼いのでは、わたくしたちはじじばばに ならざる得ませんわ、ねえ、ルーン。」 「えへへー。そうだねー。リィンならきっと、かわいいおばあちゃんになるだろうねー」 少しテンポのずれた受け答えをして、ルーンは笑う。レオンはすでにあきらめていた。どうせいくら 言っても無駄なのだ。 「わたくしが来るのですから、無様な負けは認めませんわよ?」 「リィン、あんなぁ。俺は高校に入ってから授業以外で剣道なんてほとんどやってねーの。 じーさんはルールとか関係なく打ち込んできやがるし、防具も付けてねーんだよ。」 そういうと、レオンはもう一度大きなため息をつく。 「見に来るのはいいけど、じーさんには言うなよ。もしばれて負けた日にゃ、せっかく収まってた毎日の 訓練が復活するぜ…」 その言葉に、ルーンは笑う。 「あははー、おじいさん、厳しいものねー。僕もよく鍛えてもらったなー。楽しかったねー。」 「まぁ、いい勝負でしたら告げ口はやめておきますわ。」 にっこりと脅迫じみたことをリィンは口にして、お弁当の最後の一切れを口に入れた。 「心配要らないぞ!さぁさぁレオン!今から仮入部の手続きをして、放課後から部活に参加して 鍛えてもらうからな!!土日は先生に頼んでしごいてやる!!」 オストの言葉に、レオンが切れる。 「お前、来週末だけだって言ったじゃねえか!!話が違うぞ!!」 「はっはっは、こういうのを詐欺と言うんだろーな、レオン。」 「威張って言うな!!」 レオンを引っ張っていこうとするオストに、リィンが声をかけた。 「あ、行かないで下さいます?結局練習試合はいつ、どこでやりますの?」 「ああ、来週土曜日の二時。隣町の第四龍探高等学校です。」 「わぁ、楽しみだねー。」 そう言っている間にレオンは…
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