終わらないお伽話を
 〜誘われるそのままに〜




「あんたがたはもしかして、アリアハンから来たのかね?」
”このあたりで昔王様に仕えていた人の子孫って知りませんか?”
 そう尋ねたトゥールに、老女はいぶかしげにそう聞き返した。
「そうですけど…」
「そうかいそうかい…まったくなんだって人は皆見知らぬ土地へ旅立とうとするのかね…」
「あの、どういうことですか?」
 サーシャが尋ねると、老女はため息をついた。
「あんたら魔法の玉を捜してるんだろ?この村の北東にある家に行ってみな。」
 ふう、と何度もため息をついて老女は池の方へと歩いて行った。セイはそれを見ながらつぶやいた。
「…魔法の玉ってなんだ?」
「さぁ…でも今の話だと知らない土地に行くのに必要なんだと思うけど…」
「んじゃ、あのばーさん締め上げればわかるんじゃねーの。」
 あくびしながら言ったセイに、トゥールは首を振る。
「その家に行ったら分かることだよ。あのおばあさんもほとんど知らないかもしれないし。」
「そうね。早く行きましょう。」
 サーシャの横で、リュシアもこくこくと頷いた。


 北東へ向かうと、妙に埃臭い不思議な匂いが漂っていた。
「…なぁに?この変な匂い…」
「不思議な匂い。ここから。」
 リュシアは一軒の家を指差した。トゥールが頷いて、その家のドアを叩いた。
「すみません、あの、ちょっとお伺いしたいんですが…」
 反応はない。だが、トゥールは扉に文字が刻まれていることに気がついた。
「大陸を旅立たんとする者。この扉を越えてくるがいい…開けろってことかな?」
「そうじゃない?…あら?」
 その扉には鍵がかかっていた。こんな田舎町で鍵がかかっていることは非常に珍しいことだった。
「出かけてるのかな…?」
「とりあえず開けろって言うんだから開けたらいいんじゃねーの?」
 そう言うと、セイはトゥールの荷物袋から盗賊の鍵を取り出した。
「うわ、いつのまに!」
 驚くトゥールを無視して、セイは手馴れた様子で盗賊の鍵で扉を開け、盗賊の鍵を投げて返した。
「開いたぜ。」
「…いいのかなぁ…」
「まぁ勇者がやることかは俺は知らねーよ。俺盗賊だし。」
「気にしなくていいわよ。泣き虫トゥールが堂々と勇者を名乗れるのはまだまだ先よ。名乗れる日が来ないかもしれないけど。」
 サーシャがさらりとそう言って、もう一度ドアをノックした。
「失礼します。」
 そう言って、さっさと入って言った。トゥールたちもその後に続いた。
 入った部屋には誰もいなかったが、二階に人の気配を感じた。
「…お邪魔しまーす。」
「あがってきなされ。」
 二階から声が聞こえた。四人は顔を見合わせて階段を登った。


「ほほぅ、鍵を開けて来なさったか。13年前の御仁は鍵を壊して入りなさったが…するとその御仁の息子か?」
「…父さん、鍵を壊して入ってきたんですか?すみません。」
 トゥールは頭を下げたが、老人は笑う。
「なぁに、気にする事はない。あの御仁はわしの先祖にたきつけられたと言っとったしな。ふむ、父と違って 仲間を伴って旅に出られるか。それも良かろう。わしの先祖から盗賊の鍵はもらったのじゃろう?」
「…あの、あのご老人はどういった方なんですか?」
 サーシャが横からそう尋ねた。先祖、と言うがどう見てもこの老人と同年代に見えるのだ。
「あれは生きてはおらんが、たまーに現れてはあの塔に訪れたもんになんぞか言って去っていくんじゃよ。 王様もたまに訪れて相談しとるみたいじゃがの。まぁ、そんなことはええわい。おぬしら、大陸の外に出たいんじゃろ?」
 そういうと、戸棚を探り始める。その背中に、トゥールは答えた。
「は、はい!」
「あの扉を越えてこの部屋に入ってきたものには、これを渡さねばならん。ほれ、受け取れ。」
 そう言うと老人は、黒紫色をした、丸い物体を渡した。ちょうど自分の頭くらいだろうか。家の外からもにおった、 不思議な匂いはここからしているようだった。
「それは魔法の玉。それを使えば、旅の扉の封印は解けるはずじゃ。ここから 東南にあるいざないの洞窟へ行け。…気を付けて行くのじゃぞ。」


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