ダーマに向かいながら、三人はサーシャに、サーシャが言った事を説明した。
「…本当に、私がそんな事を言ったのね…。でも、私、そんなこと知らないわ…。今初めて聞いたもの…。」
「僕も知らない。アリアハンの蔵書の中にはそんな事なかったと思うし。」
 トゥールの言葉に、サーシャが首を振る。
「でも…知らない…本当に知らないの…。」
「サーシャ、違う人みたいだった。」
 リュシアの言葉に、セイが口を開く。
「…多重人格って、知ってるか?自分の中にもう他にも人格があって、たいていの場合、人格が変わると 何もわからなくなっちまう。」
「…私が…?」
「わからねぇけどな。そういう人間がいるっていうのは、聞いた事がある。」
 セイの言葉にサーシャは考え込んだ後、少し寂しげに笑う。
「…覚えてないから、否定する要素はなにもないわ…。」
 トゥールが首をかしげる。
「でも、それならどうして、オーブのことを知ってたんだろう…?ステラさんに聞いたとか?」
「…おじさん、おばさん言ってた?」
 リュシアの問いに、サーシャは小さく首を振った。
 こんな時に痛い。刺すように、えぐられるように…この旅を続けてから痛かった部分がいつもより痛かった。

 静まった船の上で、セイが再び口を開く。トゥールとリュシアの言葉に、思い付いた事があったのだ。
「…もしくは、予言者の素質があるのかもな。」
『神の子』サーシャの父はそう言っていた。それはそういう意味だったのではないか。 両親はそれを知っていたのではないかと思ったのだ。
「…かも…知れないけれど…分からないわ…私には…。」
「でも、サーシャはサーシャだから。」
 明るいトゥールの声に、サーシャが顔を上げる。
「もういいか、サーシャはサーシャだし。何はともあれ、そのオーブの情報も手に入ったんだし。ダーマに急ごう。ね?」
「いいの…?」
 サーシャの言葉に、トゥールが笑う。
「僕はなんにも迷惑かかってないよ。皆もそうだよね?」
「まぁな。」
 横でリュシアも頷いた。サーシャは小さく微笑んだ。
「…ありがとう…」
「うん、それよりも、操船を教えるよ。行こう。」
 そうして、三人はトゥールにぎこちなくも操船を教わった。船はゆっくりとダーマへと近づいていく。

 サーシャとリュシアが楽しげに操舵輪を握っている。出航と到着、 そして進路変更以外は操る必要はないのだが、二人とも船に乗ったことすら初めてで、いじるのが嬉しそうだった。
「…なぁ、トゥール、ちょっといいか?」
 それを横から楽しく見ていたトゥールに、セイが声をかける。
「いいよ、何?」

 そうして船は、ダーマのある大陸へと到着した。


「…なんていうか、変な匂いがするな…」
 セイが少し顔をしかめる。サーシャは上機嫌だった。
「そう?おそらく清めのお香だと思うけど…やっとここまで来たのね…。」
「良かったね、サーシャ。」
 トゥールの言葉に、サーシャは勢い良く頷く。
「ええ、魔力を持つものなら誰もが憧れる、最高職賢者…ようやくそこへの道が開けるわ…。」
「ふーん、じゃあ、リュシアはいいのか?誰もが憧れるんだろ?」
 セイの言葉に、トゥールとサーシャが目を丸くする。二人とも、今まで思いもつかなかったのだ。
「…あ、そっか…リュシア…。僕、リュシアの事考えてなかったな。リュシア、どう?」
「あ…。ご、ごめんなさい…リュシア…。」
 うろたえたように、サーシャがリュシアに謝る。
 リュシアもセイの言葉に驚いたようだったが、小さな花のように可憐に笑う。
「サーシャの夢叶うの。リュシアも嬉しいの。トゥールと同じ。リュシア、サーシャ大好きだから。」
「リュシア…ありがとう!!私も大好き!」
 サーシャがリュシアに抱きついた。リュシアも嬉しそうにサーシャの腕をつかんだ。それを嬉しそうに トゥールは見ている。
「優しいね、リュシアは。」
「まぁ、リュシアがいいならいいんだけどな。んじゃ、ちょっと行って来るわ。」
 セイが髪を掻き上げてそう言うと、神殿の奥へと一人で向かった。


 いきなりその場を後にしたセイに、抱き合っていたサーシャとリュシアが呆然とした。
「え、ちょっと、セイ!」
「……?」
 顔を見合わせるサーシャとリュシア。トゥールは少し苦笑する。
「追いかけようか?」
「…どこ行くつもりなのかしら…。」
 三人が後を追いかけると、セイはなにやら神官と話している。そして祭壇に登り…祭壇の上にいる神官と話し、祈りを 捧げた。
「…セイ…?」
 サーシャが呆然と問いかけるその声は、おそらく聞こえなかっただろう。
 そして、セイは神官に見守られる中、転職を終了させた。


 セイ転職終了ーーーー!超あっさり。超あっさりですよ!!
 セイがなんで転職したかは次回に出します。それ以外の謎は先送りでお願いします、はい。
 そういえば、3のダーマの神殿って職業の説明とかしてくれないんですよねー。攻略本が なかった人って、賢者の存在、知らなかったりしなかったんだろうか?(説明書に書いてあったかも 知れませんが)意外と不親切な設定ですね。
 次回は塔編。サーシャの転職までたどり着きますかね?


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