五人の話し合いは、少しの間続いた。
「…やっぱり、とりあえずヤマタノオロチが本当にいるのかどうか、それがどういう存在なのか、調べる必要が あるな。」
 トゥールの言葉に、セイが頷く。
「ああ、少なくとも生け贄に出された女たちが帰って来ないのは本当なんだ。 弥生、ヒミコはどうやってその生け贄を決めるんだ?」
「良く知りません。ですが、噂によると、日巫女様は八岐大蛇に守られた紫の宝玉で、その意を受け取るのだと 聞いた事があります。その宝玉は私も見る機会があったのですが、その宝玉は 確かに神秘的で、見た事もない生き物の台座がついていました。 ただ、八つの頭がある大蛇だと言われる八岐大蛇には見えないと思った覚えがあります。」
 三人は顔を見合わせる。トゥールが赤のオーブを取り出した。
「まぁ、どうして日巫女様の宝玉を?…でも、赤い…?」
「やっぱりこれと同じ奴なんだ。ということは、紫のオーブを持ってることは間違いなさそうだね。 これは6種類あって、僕達はこれを探しているんだ。」
「けれど、オーブにはヤマタノオロチなんていうものと通じるなんて能力はないの。だから、 それとは別でしょうね…直接聞いても教えてくれなさそうだし…。ヤマタノオロチが見られる場所とかあるかしら?」

 サーシャの言葉に、弥生は少し顔を曇らせる。
「…日巫女様は山にある洞窟に八岐大蛇を封じたと。そこは魔物が出るんですが、 生け贄を捧げる時には日巫女様が魔物を抑えてくださるんです。そこに生け贄を捧げれば、もう出てくることは ないと言っていました。八岐大蛇を見た事があるものは、日巫女様と…生け贄に捧げられた女たち だけでしょう。」
 それでも、しっかりと事実を言う妹を少し誇らしく思いながら、セイはトゥール達に話しかけた。
「そうか。じゃあ、そっちを抑えるしかないか。弥生、お前はずっと地下にいたんだろう?」
「はい。兄様と昔作った場所が役に立ちました。」
 そう言って笑う。弥生が隠れていた場所は、小さな頃二人が作って秘密基地にしていた場所だった。
「じゃあ、そこに隠れておけ。必ず迎えに来る。」
「…はい、ずっと待っております、兄様…。」


 弥生に詳しい場所を聞き、四人はそっと倉庫を抜け出して、山に向かった。
 山道は細い道に山道になっていた。…それは、道になるほど、生け贄が定期的に捧げられた事を意味し、 心に突き刺さった。
「…許せない、わ。生け贄…それも、偽りの生け贄なんて…。」
 サーシャがそれを見ながら悲しんでいた。悲しみながら怒っていた。
「落ち着け、サーシャ。大丈夫だ。」
「セイは、怒っていないの?もしタイミングが違えば、貴方の妹さんは…」
「怒ってるぜ、当たり前だろう?そりゃもう、腸煮えくり返ってるぜ。俺はこの国は大嫌いだが、それでも こんなやり方、気にくわねぇ。」
 それは、ひやりとするほど冷たい声音だった。だが、トゥールが逆に明るくセイに問いかける。
「じゃあ、何が大丈夫なのさ?」
「これで終わりだからだ。人の妹を食おうとした報い、きっちり受けてもらうぜ。俺達が 受けさせるんだからな。…感謝してるぜ、三人とも。俺をこのタイミングでここに連れてきてくれてありがとうな。」
「神のお導きね。…きっと、神もこのような生け贄なんて、許さなかったのよ。」
 サーシャが明るくそう言った。それは、かつてダーマの神殿で捨ててきたはずの、聖職者の顔だった。
「サーシャ、お前…、」
 セイが何かを言おうとした時。
「あそこに、何か見える。」
 薄暗い闇の向こう側に、ぱっくりと口をあけた洞窟が見えた。


 弥生さん登場。登場の時に口にした短歌は、かつてセイが家を出た時に、弥生に贈った短歌 という設定です。オリジナルなのでなにやらおかしいところがなければいいのですが。

 さて、次回は苦手な戦闘シーンです。ゲームの中で何度も全滅させられた人も多いでしょう。気合 入れて頑張りたいと思います。


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