〜 黄金のきらめき 〜



 四人がトゥールとセイがとった部屋に集まったのを見て、トゥールは話を切り出した。
「それで、セイ。相談ってなんなのさ?」

 鳥を蒸し焼きがいいにおいを放っている。とうもろこしがたっぷり入ったサラダは、宿特製の ドレッシングがかけられている。くるみパンが四人の皿に渡り、リュシアが頼んだきのこのスープが届いたのを確認して、 四人はそれぞれ祈りを簡単に捧げ(セイは特に捧げず、待っているだけだったが)、それぞれの料理に 手を出した。
「あー、やっぱりあったかい飯は旨いな。」
 セイが口にした鳥の蒸し焼きは、シンプルな塩コショウの味わいがたまらなく肉汁の味を引き立てている。そっと 口にしたきのこのスープが柔らかく喉を通って、リュシアは小さな笑みを浮かべる。
 サーシャの口の中でレタスがしゃりしゃりと音を立てる。特製のドレッシングは果物が入っているらしく、柔らかな 酸味がなんともさわやかだった。
「そうね、新鮮な野菜が食べられるのも嬉しいわ。それになにより明るいのがいいわね。」
 ついさっきまでもぐっていたネクロゴンドの洞窟は、洞窟の中はもとより、洞窟を出た先も暗く、とてもじゃないが おいしい食事という雰囲気ではなかった。
「そうだね。…多分、次行くところは寒いから、あったかいものを食べておかないとね。」
 トゥールはそう言いながら焼きたてほかほかのくるみパンを口にする。
 ようやく六つのオーブがそろい、これから向かう先は、南の島、レイアムランド。極寒のその場所でラーミアが 待っている。
 トゥールの言葉に、セイは口の中のものを水で胃に流し込んだ。
「ああ、そうだ。ちょっと相談があるんだが。」
「何?」
 即座に聞き返したサーシャに、セイはしばし考える。
「…いや、ここより後の方がいい。食事が終わったらこっちの部屋に来てくれ。」


 そう言われて、お腹が満たされた四人は、こうして部屋に集合することになったのだ。
「おう、実はな。」
 セイはそう言って、鉄の爪を取り出した。武闘家になってから、セイがずっと愛用していたものだ。
「…あちこちかけてるね。ここなんてぐらぐらしてるよ。」
 トゥールが言うとおり、それはずいぶんとくたびれている。武闘家は基本的に素手で攻撃することをよしとするため、 武闘家が使える武器というのは貴重で、そうそう手に入らないのだ。
「これからラーミアのところ言ったらバラモスと対戦するんだろう?さすがにそれでこの爪は心もとないなと思ってな。 かといって素手って言うのも、やりなれてないしな…。」
 もちろん、セイの素手の攻撃はサーシャの剣の攻撃を上回る威力で、そこいらのモンスターならそれでもいいのだろう。 だが、戦うのはこの世を支配しようとするバラモスなのだ。
「そうね…。でも武闘家用の武器ってどこに売っているのかしらね。またカザーブに行ってみる?」
「いや、それでだ。一つ、心当たりがあってな。」
 セイはそう言うと、ちらりとリュシアを見た。リュシアは不思議そうに首をかしげる。セイはその武器の名を 口にする。
「黄金の爪。古代に王に献上された武器で、鉄の爪とは比べ物にならないほどの威力があるんだとさ。」
「場所は分かってるの?」
 トゥールに聞かれ、セイは頭を掻く。
「…ピラミッドの最深部に収められてるらしい。…ただし、それを持ち出せばピラミッドの呪いが降りかかり、周りの モンスターが一斉に襲ってくるらしい。」
「…つまり、またピラミッドを盗掘して、呪われたアイテムをとってこようって言うの?それに呪われた武具って呪いを 解除すると砕けちゃうわよ?」
 サーシャの言葉に、セイは首を振る。
「いわゆる普通の武器の呪いとは違う。別に外れなくなるわけじゃない。また元に戻せば襲ってこなくなるらしいし、…話に よるとピラミッドを出ると呪いは効かなくなるって噂だ。」
「…なるほど。でもピラミッドにそんなのあったっけ?」
 その言葉に、セイは再びリュシアを見る。
「一階の落とし穴から下に下りたその先。あの骨の下に階段が埋まっている。」
 リュシアはその言葉に顔を青くする。サーシャはそんなリュシアの背中を優しく叩く。
「あの魔法が使えなくなった場所ね。…困ったわね。魔法が使えない場所でモンスターが襲ってくるんでしょう? 確かに今のレベルならなんとかなるかもしれないけど…、でもやっぱり盗掘よね…。」
「でも逆にそんなもんがあるから、そこらの奴が手を出して信じまうんだから、いっそ持ち出しちまったほうが いいと思うがな。誰にも使えない武器なんざ、作った奴にも失礼だろうが。」
 セイの言葉に、サーシャは考え込む。トゥールも少し悩んだ後、口を開いた。
「んー、まぁそうだよね。イシスの女王様も怒りはしないと思うけど。…リュシアはどうする?」
「…平気。…けど、役に立てない…。」
 リュシアが小さくつぶやく。そのサーシャは少し考えて首を振る。
「そうでもないと思うわよ。ほら、魔力が込められている杖とかあったじゃない。あれなら使えないかしら?あと薬草 持っていって回復してもいいと思うし。」
 リュシアは少し考えて、小さく頷いた。サーシャは覚悟を決めたように小さくつぶやいた。
「…ルビス様、罪深き我らをお許しください…。」



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