「……凄かった……。」 「うん……。」 「アリアハンとポルトガの性格の違いなのかしら……?」 三人はバーンの抜け道を出た後でも、魂を抜かれたように同じことを繰り返してた。 ポルトガ王が示した抜け道。それはホビットの住処だった。それはいい。それはいいのだが……。 「……まさか、体当たりで岩壁を砕くとはな……。」 原始的だというのに、なぜかアリアハン住人として負けた気がするのは気のせいだろうか。 「……まぁ良いわ。とりあえずバハラタでは普通に黒胡椒が売っているはずよ。その後、一度ガルナの塔へ登りましょう。 クレアが転職するにせよ、しないにせよ、レベル上げのために行っておくのは悪いことじゃないはずよ。」 エリンの言葉に、夜散々出した涙がまた出そうになる。 エリンはとても優しい。その優しさが、クレアの胸を締め付ける。 「クレア、バハラタは聖なる川があるんだってさ。綺麗だろうな。オレ、クレアと一緒に見たいな。」 楽しそうに笑うルウトを見て、クレアも頑張って笑みを浮かべてみせる。 「そうね……エリンも一緒に……。」 そのクレアの言葉に、ルウトは少しがっかりしたが、それでもまぁいいかと小さくため息をついた。 黒胡椒屋の場所はすぐにわかったが、店員が誰もいなかった。 「……休憩中かしら?」 「まぁ、とりあえずまた後で来てみようぜ。」 「そうね……ではせっかくだから川を見ていく?魔よけの力もあるそうよ。」 「そうだな。行こうか、クレア。」 そうして三人が、川べりに来たときだった。 「なぁ、あんたら旅人か?!」 老人がそう声をかけてきた。 「あ、ああ、一応そうだが。」 「話を聞いてくだされ。わしは胡椒屋を営んでいるものだ。わしの可愛い孫娘が悪党どもにさらわれてしまったんじゃ…… ここにおる恋人のグプタも悲しんでおる。どうかあんたら、娘を助けに……」 「僕が行きます!!見ず知らずの旅の人に頼むなんて……待っていてください、必ずタニアを助けてきますから!!」 そう高らかと宣言すると、グプタという若者は、そのまま町を飛び出していった。 「……彼は強いの?」 「……わしはグプタに娘と一緒になって、店を任せようとおもっとった……なのに、グプタまでいなくなれば……わしは……。」 「強くはなさそうね。」 エリンはそうため息をついた。だが、ルウトはそれが気に入ったようで、首を縦に何度も振る。 「でもまぁ、強くなかろうが恋人を助けるために体を張るって言うのは気に入ったな。それでこそ男だ! 惚れてるからこそ守りたいんだよな。」 「そう……きっとタニアさんはグプタさんが来てくれるのを待っているはずだわ……。助かれば、いいんですけれど……。」 クレアの言葉に、エリンは二本、指を立てる。 「……けれど、それが終わるまで、故障屋は開かなさそうよ。……先に別の用事を済ませるか、それとも助けに行くか。二択ね。」 「まぁ、グプタを信じてもいいんだろうが……万が一のことがあったら、それこそ遅れるだろうし、手助け してやる方がお互いのためにもいいんじゃないか?無駄足になってもまぁ、レベル上げになるし。」 ルウトの意見に、エリンは頷いた。 「そうね、確かにその通りだわ。手間を惜しんで結果遠回りになることこそ愚策ね。」 「クレアもいい?」 悪党と聞くと恐ろしいが、カンダタの時には上手くいった。何よりも恋人達を 助けたい。そう考えて、クレアは頷いた。 |
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