加奈 〜いもうと〜


 知らなきゃよかった、と思ったことなんですが、 私、加奈が死ぬこと知ってたんですよ。ほとんど死んじゃう事知ってたせいで、あんまり泣きはしなかったですね。 知らなかったら良かったなーと思うのですよ。生き返るよね!生き返るよね!今度こそ大丈夫よね!と思いながら やったらもっと泣けたのじゃないかなーと。
 でもこのゲームは、ある意味「死ぬ」ことに意味があるんですよね。もし(そうだったらゲームとして成り立たないんですが) 6個あるエンディングのうち、5個まで加奈が生き返ることがあったなら、多分このゲームはクソゲーと化してたでしょう。確実に 死んでいく。だからこそ、残りの時間を大切に。残してくれた言葉を、魂を抱えて。 安らかに、ゆっくりと休んで。…せめて願えることはそれだけだから。そういう、メッセージだと思います。 ・・・しかし移植手術しても生き返らなかったヒロインってすっごく珍しいですよね。

 で、ネタバレなしレビューで褒めたにも関わらず、サブキャラクター(伯母さん除く)のどいつも こいつもうっとうしいのは何故だ。夕美も勇太も、両親も、うっとうしいねん!寄ってくんなや!!!と、むかつきながら プレイしてました。
 逆に伯母さんは凄く良かった。須磨子さん。知性ルートのみってのが残念だけど、須磨子さんの存在自体が 加奈に「生きる」事を心の奥から考えさせるきっかけになったと同時に…「死ぬ」という恐怖と、 後に残せるものがあることを、理解させた人物ですね。

 このゲームの欠点はストーリが、大筋二つ、小さな筋で計算しても4つしかないことですね。ほぼ必ず 夕美とくっつくし、そこに拒否権はない。もうこれがうっとうしくてね。私夕美が嫌いでね。 そこでやりたいだけで「好きだ」とはほざいちゃう主人公も嫌い。知性ルートが好きなんですが エンディング、ほとんど変わらないのがちょっとなんでしたね。もう一個のルートは全然違うエンディングだったのに。もうちょっと なんとかならなかったんですかね?個人的に2が好きです、もう忘れてるよ!ペンダントなんて!しかしあれ、ペンダントにしては 可愛くないし、大きすぎると思う…キーホルダーにしとけばいいのに。 あ、もちろん1は別格で好きですね。しかしめったに生き返らないわりに、 生き返ることが全然おかしくないのは、それこそ病名をしっかり公表してるからだろうな…

 そういや音楽。たしかに曲数すくなくて、えっちシーンにそぐわない音楽が流れますがそれ以外は、私は 良かったと思います。OPやEDも下手だと言う意見がありますが、加奈だからいいと思う。私はずっとあの声が 加奈だと思ってましたから、逆に上手かったら嫌だなーと思いますね。


 それではエンディング別感想。

 エンディング1.知ってたけど、知ってたけど!良かったよ―――。あれだけ頑張ったんだもんね、よかったね。 しかし離れていっちゃうとは思わなかった。それが正しいことではあるんですけれども、そうできることはとてもいいことだと 思います。逆に、離れることで初めて「ちゃんとした普通の恋人」になれると思いますから。

 エンディング2.…まず。夕美うっとうしいねん!ちゃんと振ったでしょ?なんでまだ付きまとってくるの?もうじゃま! どっかいって!ストーカーだよ!お墓にまでついてくんな!もううっとうしくて、こっちは加奈のことで落ち込んでるにもかかわらず… もし万が一、私が隆道の立場なら立ち直っても夕美とだけは付き合いたくないです。あそこまでされたらむしろ怖いよ。 「とっとと加奈のことわすれて」って言ってるみたいでさ。付き合っても加奈のこと思い出すたびにいやーな顔されそうだし。
 それはさておき、…メッセージ…4番目のメッセージは一体どんな気持ちで残しておいたんでしょうか?最後の言葉に、 「綺麗な言葉」のみを残そうとしなかったのは、一体どんな気持ちだったんでしょうか?そう考えると泣けて、泣けて… 血を吐くような叫びが悲しくて…そらそうだよな。死なせたく、なかったよなと。逆にこの メッセージが入っているからこそ、この言葉はすべて心からの真実なのだと思えました。 そのあと、もはや聖人の言葉のような響きの加奈の声…加奈の言葉。最後の。もう駄目でしたね、加奈―――って ぼろ泣きでした。私にとって多分最高に加奈というゲームの真骨頂なエンディングでした。

 エンディング3.逆に夕美の存在意義がわかった時。逆にこのバージョンでのみ、私は今後夕美と付き合いたい。 「加奈ちゃんの部屋、このままでいいの?ほこりかぶってるよ?」っていう夕美はかっこよかったです。このときの 夕美は加奈のこと認めて、加奈ごとの隆道を好きなんだな、そして、もし加奈に恋愛感情がなかったなら、 とてもいい友達になったのではないか、と思わせるエンディングでした。

 エンディング4.存在意義が不明。花が咲いたのね。思い出の花なのね…それだけ。6.5.4の順で見たのが わるかったのですが…ただ、おまけルートに行くならば、このエンディングが逆に生きるかなーと思います。

 エンディング5.6の方を先に見たので何も感慨がなかった。…ただ、個人的に6より好きかもしれません。 最後のは私にとって蛇足だし。あ、知性ルート全体ですが、加奈との夢の別れ。真っ白な本… それはとても美しくて、悲しくてよかったと、思います。

 エンディング6.すっごく良かったです。少しずつ完成していく加奈の日記。…加奈にできる最後の事。 そこから伝える言葉。伝わってくる言葉。「今日出来なかったことが明日には出来るようになるんだよ」 「明日の自分は今日よりも優れていますように」というメッセージがなんとも言えず…
 そしてその、加奈が最後にしたささやかなことが人に感動を与え、心を動かす。…加奈は病院の中でしか 生きられなかったけど、こんなにもいろんな人に影響をあたえることが出来る人間だったんだよ、加奈の人生は 無駄じゃなかったんだよ。そう思えてかなしくて。
 ただ、えっと。夕美、別に許していらない。私にとって、夕美に電話した時点で、夕美への思いは 全て断ち切っておりました。ゆえにはっきり言って病院にまできやがった時、半分ぶちぎれておりました。 そのうえ、夕美は隆道の加奈への思いに耐え切れず、その場を去りました。…つまり、この先隆道に 関わる権利なんてないはずなのに「ここまでされちゃ、許さなきゃ鬼だよ」…ふざけんな!もう二度と 俺に顔を見せるな!…許して欲しくなんかないし、加奈はお前が俺を許す為に、これを書いたんじゃないんだよ!と。まあ、 そこまでは思いませんでしたが「許してくれるのか…?」とか隆道が言いやがった時は「…は?」 と思いましたね。…どいつもこいつも中途半端な…いいエンディングだと思うんですけどー。 どうにもこうにも…なあ、と。


 いや、いい作品でした。心に訴えかけるなにかが…加奈が必死で生きるその姿が、とても素晴らしかった、と思います。



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