弟切草小説の感想


 ゲーム弟切草脚本家の長坂秀佳様がお書きになられた小説。まあつまり本家本元なわけです。
 これをかかれた背景はつまり映画「弟切草」の宣伝です。つまりは。いつかはそっちも見てみたいと思っては いますが。それはさておき。
 ストーリーは主人公公平はゲーム弟切草の脚本家。実はあの作品は死んでしまった恋人のアイディアをそのまま パクッたものだった。それが判ってもかつての恋人は責めはしなかったが、ゲームにするにあたり、主人公の 名前を自分にし、弟を自分の弟に、そして恋人の名前は「奈美」にするように指示した、それだけだ。
 そしてあるとき「弟切草」と言う店で、ある女性に出会う。その女性は「奈美」そして、その女性と恋人になり、 今奈美と二人でドライブをしている…
 奈美にもかつて恋人がいた。その恋人は自分の父親ほどある年の離れた男性だった。父親には反対されたが それが逆に燃え上がり、二人は恋に落ちた。だがある日、恋人と旅行に行った日…その日の事がとぎれとぎれにしか記憶にない。 そして、恋人は死んでいた。
 運命的に出会った二人が偶然訪れた場所。それはあの弟切草そっくりの館だった。そしてまるでそっくりの怪奇現象、 奈美そっくりの女性「ナオミ」…はたして一体何がおこっているのか?

 という感じなんですが。ちなみにあとがきに「今までの弟切草でありながら、全く新しい弟切草にする」と言うコンセプトで 書かれたお話だそうですが。

 感想はと言いますと、確かに「今までの弟切草でありながら新しい弟切草である」事には成功しています。ええきっぱりと。 でもそれは良い言い方。私はむしろ「弟切草の全てを適当にトッピングして詰め込んで、ついでに新しいシナリオを足しました」 って感じでした。双子の呪いやら、ライラック編やら、シャドウ編やら、直樹の海編やら、ピンクの栞編やらをとりあえず詰め込み、 さらにちょっと謎と、うけるためにえっちな要素を足してみました…って感じ。読んでいて、『あーこれ、双子編だ』『 これはシャドウ編で読んだな』『なんかライラック編っぽい。』「根本はやけど編?」と思いました。
 こんだけ無茶無茶詰め込んだわりに、ある程度整合性は取れてますが…あくまである程度。ゲームをしらない母いわく(買ったのは 母)「なんかよくわからなかった…」なので…いまいち。いいところだけ詰め込んでも、もっといい料理に なるわけじゃないよね。結果的に、ゲームをしてる人には、「これ知ってる、ごちゃごちゃに詰め込んでるなあ、」という評価を与え、 知らない人には「なんかごちゃごちゃでよく判らない」と言う評価になるわけです。
 あと、これホラーじゃないです。むしろ推理小説に近い(それにしてはお粗末。)だって最後に全てのトリックが 明かされるんですもの、一応「人間で出来る範囲の怪奇現象のトリック」として。逆にいいますとですね、 ちゃんと最後に種明かしされる為に、怪奇現象が大人しい。魚がいきなり干からびたり、鎧が歩き出したりしないの。
 弟切草らしくナオミは狂ってるけど… なんか乱暴な売春婦って感じ(そういう職業さんに失礼な表現だが…)で、全然魅力的じゃないし。 ナオミはもっといい女だよう…

 そして新しく足されたシナリオ部分は…核となるにはお粗末かなー。最後そこだけ決着ついてないしさ。
 ホラーでもない、推理でもミステリーにもなり損ねた小説。…どうせなら弟切草らしく、ホラーに徹したらよかったのに、 どうして「タネ」を作っちゃったんでしょうね?だから全然怖くないです。ゲームしてない人ならもしかしたら 怖いかもしれないけどね。

 結論。素材がありすぎてごちゃごちゃした料理。作者の意図どおりに出来ているけれど、そもそも作者の意図が 間違っていたと思われる。個人的には、全部を組み合すんじゃなく、 おそらく一番評価が高くて妥当な「やけど編」あたりをもっと深く掘り下げて小説にした方が名作となったのでは ないかと思われます。

 まあ、興味がもたれたら読んでみたらいかがでしょう。図書館か古本屋あたりで。その程度なら「騙された!」とは 思わないでしょう。

 おまけ。同じく宣伝として用意されたと思われる「かまいたちの夜」のドラマはこれ以上におそまつでありました。 なんだあの犯人は、ありゃないだろう。すでに推理じゃないし。かまいたちのドラマなら、推理部分に力を入れてほしかったものである。


弟切草のネタばれ。



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