ラグは部屋に着くと、荷物をおろし、そして鎧を脱いだ。そしてベットに転がる。 「どうしてあんなふうに言ってしまったんだろう…」 自分の心の弱さを人にぶつけてしまったこと、それがより、悲しかった。 鍵を握り締める。あの時から癖になってしまった。握りながら心で唱える。昔からの夢を。 (強く、なりたい。仇が討てるほど、皆を守れる、そんな強さを…) そうしているうちに、ラグはゆっくり眠りに誘われていった。 階段を昇る。その先に、明るい未来があるのだと信じて。光のもとに暖かな家族があると、信じて。 だけど、そこは廃墟だった。家は壊れ、毒の沼が広がり、いるはずのみんながいない。 はじめて見る無残な自分の村。なのに…なぜか見覚えがある。 ラグは大声で呼びかける。 「みんなー!どこにいったの?」 そう言いながら村中を駆け回る。 (皆、どこに言ったんだ?この村の姿はなんだ?」 「父さん!母さん!シンシア!先生!師匠!皆出てきてよ!」 そう呼びかけたとたん、周りは闇に包まれた。周りには血だらけのみんなの姿があった。 「お前が勇者じゃなかったら、こんな目に遭わなくてすんだのに」 そう宿屋のおじさんが言う。 「お前がもっと強かったら、お前をかばって死ぬこともなかったのに。」 そう、剣の師匠が言う。 「お前がこの村に落ちて来なければ、この村はいつまでも平穏だったのに。」 そう父が言う。 「お前が勇者でなかったら、貴方を育てはしなかったわ。」 そう母が言う。 村のみんなが口々に言うその苦しみの言葉を、 ラグはうずくまり、耳をふさぎながらもじっとその声を聞いていた。 「…僕のせいなんだ…みんなが死んだのは僕のせいなんだ…。」 そうつぶやく、そして問い掛ける。 「僕はいてはいけない人間なのか?僕が勇者でなければよかったのか?」 向こうから、人が歩いてくる。それは鏡に映したような、暗い顔の自分。そしてその姿は、シンシアと変わった。 「貴方がこのまま何もなさないまま死んでしまったなら、私は何の為に貴方の代わりとなって死んだの?」 そう突きつけられる言葉。周りには村の皆が血だらけになってラグに呼びかける。 「お前が勇者ならなければ何の為に私たちは育てたのだ。お前は勇者だ。」 「勇者だから愛した。勇者だから教えた。そして私たちは勇者をかばって死んだ。」 「勇者として世界を救え。勇者として魔王を倒せ。」 「勇者でない貴方に、何の価値があるというの?」 「僕は勇者なんかじゃない!僕は、皆を助けたかっただけだ!皆を救いたかっただけだ! みんなの仇をとりたいだけだ!」 ラグは、ベッドから跳ね起きた。体中汗が吹き出て、息は荒い。 「…あれは…夢…」 時は黄昏の逢ヶ魔。空は青紫に染まり、陽は今まさに沈まんとしていた。 宿屋の一室。少し前まで様々な衣類や楽器などに溢れていたが、さっき マーニャが持っていったのだろうか。そこはぽっかりとした広い空間だった。残っている荷物は こじんまりとした物だった。着の身着のままで船に乗った、あの時とほぼ変わらぬ荷物。 ミネアはカーテンをひき、ろうそくをつけた。そして机に清めた布を敷く。そして椅子に座り、 銀色に光るタロットを取り出した。すう、っと深呼吸をし、自分の知りたい事を思い浮かべる。 (ラグの、過去と、未来を…) ミネアは知りたかった。ラグに何があったのか。全てじゃなくともいい。ただ、ラグの心は 余りにも深く傷ついていた。ミネアは、ラグを救えない。だが救う手助けを少しでもしたかった。 タロットを手に取り、手順どおり組んでいく。そして並べる。深呼吸をし、ゆっくりめくる。まずは過去の カード。 「…塔の正位置。意味は突発的な崩壊、死別…」 どうやらよほど辛い事があったらしい。そして次に、現在のカード。 「皇帝の逆位置。意味は不安定、精神的な弱さ…。過去の辛い事によって心が弱り、何も見えない でいるのかしら…」 そして未来のカードの手を伸ばした。そのとたん。強い風が吹いた。ミネアの髪が揺れ、カードが飛ばされる。 しかしミネアにはそれをかまっている余裕はなかった。その風とともに、頭の中に声が響き渡ったからだ。 「…今のは、なんなの?」 机の上のカードはもちろん、布さえも床に落ちていた。だが、部屋のカーテンは、まったく揺れはしなかった。 タロット占いはよく知らないのでちょっと不安です。 解釈とか。ゲーム中に出てこないカードが出てますけど、ゲームにも タロットにないカードが出てきてるから良しとしてください。キャスティング(占いの並べ方の事) にも色々あるらしいんですが、判らないので開き直ってルーン占いのキャスティングです(笑)多分タロットも 同じキャスティングあると思うんですけどね。一番単純に3枚並べた、と仮定してます。普通ならもっと複雑なんでしょうけど。 ラグ君、親不孝者…(自分で書いててなんですが)でも頭では判ってても、心で理解できてないんでしょうね、きっと。 |
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