「どうやらこちらも儀式に使われていた塔なのでしょうね…」 周りを見渡しながらリィンが言った言葉に、二人が頷いた。明らかに居住性というものを 無視した造りをしている。そもそもこんな島にある塔に住む者もいないだろうが。 「念のため吹いてみるぜ。」 そういいながら、レオンは山彦の笛を取り出して、口にあてた。美しいメロディを奏でるが、 山彦は返らなかった。 「少なくともこの階にはないみたいだな。」 「ですわね。まぁ、一つの目安としましょう。目的は、月のかけらですわ」 「ところで、ねえ?レオン、リィン?」 ルーンは目をくりんとさせながら、二人に問いかけた。 「月のかけらって具体的にどんな物?」 一瞬の沈黙。そして、レオンはルーンの頭をわしづかみにした。 「なんでもっと早くいわねえんだよ!!」 「痛いよー、レオンー。僕も今、気がついたんだよー!!」 ばたばたと暴れるルーン。 「そういえば…わたくしたち、何も聞いておりませんわ…」 「ま、まぁ、月のかけらーつーんだから、月っぽい形とか色とかしてるだろうよ。」 ようやくルーンを解放し、レオンが苦しそうに言った。 「まぁ、魔力がこもっていることは間違いないでしょうし…」 「そうだねー。きっとわかるよねー」 痛む頭を抑えながら、ルーンはにこやかにそう言った。 「とりあえず、行こうぜ。とっとと上にあがって笛吹くぞ。」 レオンの言葉に、三人は近くの階段を目指した。 ぐねぐねと曲がる部屋。脈絡もなく登場する階段。襲い掛かるモンスターたち。五度、六度行き止まりに遭遇しながら、 三人は上へと向かっていった。 「かつては清められていたのでしょうに…これほどモンスターが入り込むなんて…」 「そうだね。昔は水によって、俗世から聖別されてたんだろうけど、水門が閉じちゃってたからね」 壁に彫られている清めの文様も、モンスターたちにかき消されてすっかり消えている。 「…それにしても、ぐるぐる回ってるせいで、広さがよくわかんねーな。」 「そうですわね…でもそれも、確信部に触れさせないためかもしれませんわ」 「ぐるぐる回って、月のかけらの場所から目をそらしてるのかもしれないねー。」 そういいながら、三人は階段を上がる。そこは頂上だった。 ドーム上の天井に、月の星のレリーフが掘られている。 十字架の形をした窓が、中央の十字架を映し出す。そして、中央には、満月を彩ったステンドグラスがあった。 「…美しいわね…かつてはここで、何かの儀式が行われたのでしょうね…」 「綺麗だねー…」 「すげーな…満月の塔だ…」 その見とれている暇もなく、レオンの後ろ頭に何か金属のものがぶつかった。 「痛てーな!なんだよ!!」 そう振り返ると、液状の銀色の中央の目が、ぎろりとにらんだ。 「うわぁ!!なんだ、これ!!」 「はぐれメタルだー、めずらしいねー」 「本当ですわね。逃げ足が速くてめったに襲ってこないモンスターですのに。」 そういう間もなく、はぐれメタルは三人にギラを唱えてきた。 「てめえ!やる気か!!」 レオンは力を込めて剣を振るう。だが、その体に跳ね返される。 「なんだこいつ!!」 「レオン!忘れましたの!メタルスライムと同じミスリル銀で出来ているはぐれメタルは、防御力が凄いのですわ! しかも呪文は効きませんわよ!!」 「知ってるよ!ルーン、てめえものんびりしてないでこいつなんとかしろ!!」 レオンが怒鳴りつけると、ルーンが走り、剣を振るう。だが、かするだけで致命傷にはいたらない。 「ちくちくやっていくしかないよー。」 ルーンの言葉に頷き、リィンはいかずちの杖を振るい、メタルスライムの頭にぶつける。 そして、その後ろから頭上から力いっぱいレオンがロトの剣を振りかぶる。 …それは、我ながら気持ちのいい手ごたえだった。 「よっしゃ!会心の一撃だぜ!!」 レオンがガッツポーズをすると同時に、はぐれメタルは地に伏せ、そしてゆっくりと消えていった。…そして、 その場所にころりと何かが転がった。 リィンの髪の色のような輝く紫の玉に、金の飾りと宝石が付けられている。それは陽の光に透けて輝く美しい玉だった。 「…光の…玉……か…?」 長い三人の沈黙を破ったのは、レオンのかすれた声だった。その声に我に返ったのか、リィンはゆっくりとその玉に近づいた。 「…いいえ。これこそがムーンブルクの秘宝。かつてムーンブルク初代女王ルミナが、ローラ王妃から授かった魔力を こめた玉。…」 「…リィン?じゃあ、それが…」 ルーンの言葉に、リィンが頷く。 「ええ。かつてローラ姫が勇者アレフに授けた『王女の愛』を故郷を離れる娘への愛情を込めて作り変えたとされる 魔力をこもったアイテム…わたくし達はこう呼んでおりましたわ…」 リィンはその玉を拾い上げるためにしゃがみこんだ。 「復活の玉…と…」 半分、水門編になっちゃったな(笑)でもここで切る気満々だったので大満足です。 復活の玉は私が生まれて初めて手に入れたレアアイテムでして、どうしてもキーアイテムにしたかったのです! 王女の愛=復活の玉というのは私の妄想ですが。だってどこに居ても経験値が聞けるってところが なんとなく似てません?私はそう思うのですが。 そんなわけで、次回はリィンが主役です!! |
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