「嘘…だろ…?」
 目をこすっても、その光景は見間違えようもない。
「…レオン…ここは……ローレシア…ですわよね?」
 驚きを隠せないリィンに、レオンは頷きを返す。
「ああ、間違いない…どういうことなんだ…?とりあえずついてきてくれ。」
 城の方に向かうレオンに、すぐさま声がかけられる。
「レオン様!!お待ち申し上げておりました!!」
 それは、よく脱走を許してくれる、馴染みの門番兵士だった。
「お待ちしてた?それはどういうことだ?」
 剣を構えるレオンに、門番はあくまで明るく言う。
「レオン様も旅を終えて帰っていらっしゃるだろう、と。王様がお呼びですよ。どうぞお顔をお出しください。 リィンディア様も、ルーンバルト様もご一緒に…」
「…親父が?なぁ、もっと詳しく聞かせてくれよ。」
「この国はハーゴン様と同盟を結びました。レオン様たちも、もう戦わなくてもいいのです。」

 …時が、止まった。

「なんだってーーーーーーーーーーーー!!!」
 レオンが憤怒の叫びとともに走り出す。
 いくらなんでもそんな卑劣なことはやらないだろうと思っていた。あれでもまがりなりにもロトの血をひくものなのだ。 そのローレシアの王が、よりにもよって、邪神官ハーゴンと同盟?信じられない。だが、
(あの親父なら、やりかねねえ!!)
 国を強くするためにならば、どんな手でも使うだろうと思えるあの親が、ハーゴンを一の権力者だと認めれば、 同盟を結ぶことなどいとわないだろう。
 ぶん殴る。とにかく殴る。レオンは後ろも見ずに走り出した。

「レオン!!ちょっと待ってくださいませ!!」
「レオンー、…行っちゃった…どうしよう、追いかける?」
 二人で顔を見合わせた。
「レオン様、どうなさったのでしょう…?」
 門番が不思議そうに顔をひねる。
「…ねえ?レオンのお父さんがハーゴンと同盟を結んだってどういうことなのかなぁ?」
 ルーンの言葉に、門番はきょとんとした。
「どういうことも…ハーゴン様がこの世界を平和にしてくれたんですよ。そしてこの先、すべての 人を幸せにすることが夢だと言って、我が国にも多額の寄付を与えてくださり、我が国は ハーゴン様の従属国になったと聞きますが…?」
「けれど、ハーゴンはムーンブルクを滅ぼしたんですのよ?そんなことありえませんわ!!」
 リィンの叫びに、門番は笑う。
「ああ、あれはただの失火からの火事だそうですよ。ハーゴン様はなんとか人を救い出そうとしたそうですけれど…」
 派手な音がした。リィンの平手打ちが、門番の頬に当たったのだ。
「…その口を閉じなさい。あと一言でもそのような戯言を口にするなら、わたくしは貴方を殺します。」
 リィンの刺すような目つきが、門番の口を止めた。
 ルーンが、リィンの手をそっと掴んで微笑む。
「リィン落ち着いて。この人が悪いわけじゃないよ。僕が聞いたんだから。ね?レオンを追いかけなくちゃ。」
「…ええ、行きましょう。」
 門番にくるりと背を向けて、二人はレオンの後を追いかけた。


「…ルーンはどういうことだと思っておりますの?」
 走りながら、リィンはルーンの問いを投げかける。…ルーンは平常心のように見えた。驚きすら見えない。
「うーん…いろんなことが考えられるなぁって思うよー。…でも…多分」
「多分?」
 聞き返したリィンに、ルーンは遠い目をした。
「哀しい幻想(ゆめ)だよね…きっと。」
「…幻想(ゆめ)?」
「…うん、きっと。あ、レオンが…」
 ルーンが話題を変えて、前を指差した。そこにはレオンがつったっていた。
「レオン、どういたしましたの?」
 レオンの顔に表情はなかった。
「…母上が…元気そうに部屋から出てきていた。」
 ローレシアの王妃は身体が弱く、めったなことでは自室からでることはないというのは、三国では常識だった。
「…何を言われたの?」
「身体が治ったのはハーゴンのおかげだと。…これから私の全てを、ハーゴンに捧げると…これからの 人生は、きっと…素晴らしいものに、なると…」
 レオンは動揺していた。無表情に震えた声。…それはあまりにも哀れだった。
「…母上は、幸せそうだったよ…今まで見たことがないくらい…。なんだよ…これは…これが、ハーゴンが支配した 世界なのか?」
「…ルーンは幻想(ゆめ)だと言っていたわ。」
 レオンの愚痴をを、リィンはそんな風に慰めた。
「…ゆ、め……ならこれは、どんな悪夢だよ…」
 自嘲するように、レオンはそうとだけつぶやいた。
「リィンと僕の次はレオン。…多分そういうことだよ。きっとレオンのお父さんに会えばちゃんとしたことが わかるんじゃないかな?レオンなら。ただの悪夢にするかしないかは、レオン次第だよ。」
 ルーンの言葉に顔をあげたレオンは、もういつものレオンだった。
 迷いの心を最後まで持ち続けながら、それに打ち勝つ強さを持った者。そして、 それはルーンとリィンも同じだった。

「あの親父…ちくしょうぶん殴ってやるからな!」
「レオン、暴力に訴えるのはよくないですわよ?」
「でもリィン、さっき門番さん、ひっぱたいたよねー?」
 ルーンの言葉に、リィンの顔が、朱に染まる。
「ルーン!ひどいですわ、今それを言うなんて…」
「あははー、ごめんねー」
「なんだよリィン、人のこと言えないんじゃねーかよ。」
 笑い合い、じゃれあいながら当たり前のように城の廊下を歩き、一直線に階段へと向かう。
 その先には、最後の戦いの幕開けがあることを知っていて、三人はじゃれ続け、笑い合う。
 …そして階段に足をかけた瞬間、三人の顔は一転して『戦士』へと変わる。
 階段を登り続ける。…その先の戦いに向かって。


 ”階段を登りきった三人の前に現れたローレシア王は、変貌と遂げていた。
 果たして敵はどこにいるのか?ローレシアはどうなってしまったのだろうか?戸惑う 三人の前に、ついにあの人物が姿を現す!!
 次回、「群青色の邂逅、そして…」次も見てくれよな!!”
 …てなかんじですね、終わり方が昔のアニメっぽいです。
 …見てくれよな、なんていう人物はレオンしかいないのですが、さわやか過ぎて気色悪いです。
 やっぱり「…まぁ見たかったら見てもいいんじゃねーの?好きにしろよ。」くらい言うのが レオンだと思います。ルーンやリィンだとまぁまぁはまってるんですけどねー。

 って、クライマックスなのにふざけていてすみません。どうか次回も見てくださいね。

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