「何をほざく!!」
 ハーゴンは怒りながら、剣を振るう。それを避けながら、レオンはルーンに話しかける。
「ルーン?!どういうことなんだ?!」
「だって…レオン、考えてみて。僕たちなんて待つ必要がないんだ。フェオさんがいたんだから。…どうしてハーゴンは フェオさんの身体に、わざわざ入ってたのか…僕は、悲しいんだよ。とても…」
「…哀しいって…?」
 杖を振るいながら、リィンはいぶかしげに聞く。そこにハーゴンが切りかかってくる。
「黙れ!!!」
 鈍い音がして、リィンの肩から血が流れる。その横から、ルーンが涙を流しながら切りかかった。
「貴方は、フェオさんが好きだった!!とってもとっても!!だから、貴方はずっとフェオさんになりたかったんだ!! だから、その中に入った!!そうでしょう?貴方はフェオさんが好きで、うらやましかったから…だからねたましかった!! 憎かったんだよ!!でも、そんなことしても、何にもならないよ!!」
 横からの刃が、ルーンの腹を切り裂いた。
「ルーン!!のやろ……!!」
 背中から、レオンが襲い掛かる。リィンはすぐさま駆け寄り、回復魔法を唱える。そしてその最中もなお、ルーンは叫んだ。
「誰かを憎くて、うらやましい気持ちは、僕も同じだから…成り代わりたいって思った事だってあるよ!!でも、 でも、僕もハーゴンも、その人が好きだったからなんだよ!!」
「うるさい!!」
 まるで子供のかんしゃくのように、ハーゴンは呪文を放ち続ける。そして、その爆風に負けずに、ルーンは叫ぶ。剣を 振るいながら。
「昔の貴方は、みんなを幸せにしたくて!!だからルビス様を信じてた!!貴方はずっと、誰かを幸せにしたかったんだ!! そんなことのために…世界を滅ぼすために、神官になったわけじゃない!!」
 ルーンがそう叫んだ時、リィンの背中が真っ赤に染まった。…ハーゴンの剣を受けて。
「リィン!!」
「…だ、い、じょ、う…」
 横を見ると、レオンが力の盾に手を伸ばしていた。そして、その瞬間、ルーンの身体が壁に叩きつけられた。


 ゆらりと起き上がったのは、三人同時だった。回復したとは言え、すでにぼろぼろに なりながら立ち上がる。
「…ごめんね…やっぱり、こんな形に、なっちゃったよ…貴方は僕の闇の部分…だからこそ、止めるから。」
 ルーンはロトの剣を抱える。
「やっと判りましたわ。ルーンの言いたいことが。あんな幻影の夢を 見ても…絶対に叶わない。皆に認められて、ちやほやされて…そんな夢は、叶わない。…決して。」
 リィンは雷の杖を構える。
「…小さなガキじゃあるまいし。自分が運をつかめないことを、神のせいにしてひがむなよ。」
 レオンは、稲妻の剣を構える。
「神に祝福された者に、何がわかる!!」
「祝福されてようがされてなかろうが!!それに沿った行動できなきゃ!!神は許してくれねーんだろ?なら 俺の実力だ!!」
 そういうと、レオンは飛んだ。高く、高く。ハーゴンは呪文を打つために手を突き出した。
「馬鹿…め…」
 その脇に、ルーンはロトの剣を深く、深く差し入れた。
「…大切な人を傷つけてから…きっと貴方は戻れなくなってた。…でも、僕は貴方に、戻って欲しかったよ。」
 そして、最後にリィンが杖でその身体を押し出す。
「貴方の一番の罪は…無関係なものを、貴方の嘆きに巻き込んだこと…」
 ハーゴンは、たたらを踏んだ。そして、その場所には、着地したレオンが剣を持って待っていた。


 倒れ伏せたハーゴンは、口から血を出しながら言葉を吐く。
「…私を倒して、世界を救ったつもりか……いいや!!私を倒しても、お前たちに世界は救えまい!! 我が破壊神、シドーよ!!我が身体を寄り代に、この地に宿れ!!今ここにロトの血筋を、その生贄として捧げん!!!!!」
 ハーゴンがそういったとき、その身体が炎に包まれ…燃え上がった。


「…燃え、…た…?」
 レオンがそう、呆然とつぶやいた時、世界が変わった。
 ”ここはいけない”
「逃げろ!!」
 レオンがそう言った時にはすでに遅かった。三人の前に立ちはだかるように、魔のほむらが立ち上がり、世界はゆれ始めた。 床板は剥がれ、天井の石が崩れ落ちる。

 …そして、三人の前に、巨大な神が、立ちはだかった…



 ルーン主役編。ルーンが光に対して、ハーゴンは闇。一歩間違えば、こうなっていたかもしれない、闇です。
 そして、次回邪神降臨です。最後の戦いです。



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